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2026.8.8
「通う習慣」が切れた生徒を引き留める。大手スクールには真似できない、退会を劇的に減らす「無償のひと手間」の力
はじめに:かつての「日常」が変わり、人々の「習慣」がリセットされた時代
2020年から始まった世界的なパンデミック、そして度重なる緊急事態宣言の発令。あの未曾有の危機は、私たちの社会やビジネスのあり方を大きく変えました。
当時、飲食店には時短営業の要請とともに、1日あたり数万円の協力金が支給され、メディアやネット上では「休業した方が儲かる」「コロナバブルだ」といった短期的な損得論が飛び交うこともありました。
しかし、先を見据える聡明な飲食店経営者たちは、目先の協力金に浮かれることなく、全く別の「本質的な危機」に恐怖を抱いていました。
彼らが本当に恐れていたこと。それは、「人々の『外でお酒を飲む』という習慣そのものが、この世から消えてしまうのではないか」という懸念でした。
外出自粛や時短営業が長引く中で、これまで当たり前のように仕事帰りに居酒屋へ寄っていた人々は、こぞって「家飲み(オンライン飲み会など)」へとシフトしていきました。そして、いざ家飲みに慣れてみると、「移動時間もないし、何より安上がりで楽だ」と気づいてしまいます。
一度リセットされ、別の形(家飲み)で上書きされてしまった「習慣」を、再び元の「外飲み」に戻してもらうのは、至難の業です。新規顧客やリピーターの獲得にただでさえ苦戦する飲食店において、この「習慣の喪失」は、協力金などの短期的な利益では決して補填できない、致命的な長期的ダメージを意味していました。
そして、この「習慣の喪失による、顧客の離脱」という危機は、飲食業界だけの問題ではありません。私たちスクールビジネスにおいても、今まさに直面している、あるいは常に備えておかなければならない最重要課題なのです。

1. 会員制ビジネスの強みと、その裏に潜む「優先順位低下」の罠
学習塾、英会話スクール、音楽教室、スポーツジムといった「スクール系ビジネス」は、基本的には毎月一定の月謝をいただく「会員制(ストック型)ビジネス」です。
飲食店のようにお客様が来店するたびに都度決済をするビジネスとは異なり、スクールは「一度入会(契約)していただければ、こちらから何もしなくても毎月継続して通ってもらえる確率が非常に高い」という、経営上の大きな強みを持っています。
そのため、多くのスクール経営者は、どうしても「いかに新規生徒を獲得するか(入り口の拡大)」ばかりに目がいきがちです。
しかし、会員制ビジネスの安定性は、生徒や保護者の中に「そのスクールへ通うことが、生活のルーティン(習慣)として定着していること」が大前提となっています。
- 「毎週水曜日の夕方は、英語教室に行くのが当たり前」
- 「土曜日の午前中は、スイミングスクールで体を動かす時間」
このように、生活の一部として組み込まれているからこそ、月謝が毎月自動的に支払われることに疑問を持たないのです。
ところが、災害や感染症、あるいは個人のライフスタイルの変化(進学、部活の開始、家庭の事情など)によって、一度その「通う習慣」が物理的に途絶えてしまったらどうなるでしょうか。
通うことができなくなった、あるいは通う頻度が落ちたことで、生徒や保護者の頭の中で、あなたのスクールの「優先順位」がズルズルと下がっていきます。 「行かなくなってみたら、意外と時間ができて家がのんびりするな」 「別になくても、そこまで困らないかもしれない」
こう思われてしまった瞬間、スクールは「退会(解約)」という最悪の結末を迎えることになります。一度冷めてしまった「習うことへの熱量」を、もう一度温め直すのは、新規顧客を獲得するよりもはるかに難しいのです。
2. 大手と中小の決定的な差:「画一的な対応」対「無償のひと手間」
生徒の足が遠のき、通う習慣が薄れかけているとき。あるいは、何かしらの理由で休校やオンラインへの切り替えを余儀なくされたとき。
ここに、「大手のスクール」と「地域密着型の中小スクール」の、対応の決定的な違いが現れます。そしてこれこそが、中小スクールが生き残り、さらには大手の顧客を奪って成長するための「最大の差別化ポイント」になります。
■ 大手スクールの対応:効率重視の「画一的なシステム」
業界大手のスクールは、マニュアルとシステムで統制されています。 イレギュラーな事態が発生した際、彼らが取る対応は非常にスピーディですが、同時に冷徹で画一的です。
- 「一斉送信の事務的なメールや公式LINEでの通知」
- 「マニュアル通りに『休会規約に基づき〜』と冷たく説明するコールセンター」
- 「個別の事情を考慮しない、一律のオンライン授業への強制移行」
システム化されているため、運営側としては楽ですが、生徒や保護者は「自分たちは単なる会員番号(数字)として処理されているだけだ」という寂しさを感じます。結果として、帰属意識が薄れ、退会への心理的ハードルが劇的に下がってしまいます。
■ 中小スクールの対応:泥臭く温かい「無償のひと手間」
一方で、私たちが運営する中小個人スクールが取るべきは、徹底的に血の通った個別対応、すなわち「無償のひと手間」です。
これは、契約書に書かれているからやる業務でも、追加でお金をいただくための営業活動でもありません。純粋に「生徒の現状を気遣い、つながりを維持する」ために行う、泥臭いアプローチです。
例えば、以下のようなアクションが挙げられます。
- 個別の手書きメッセージやハガキを郵送する (「〇〇ちゃん、最近会えてなくて寂しいです。お家で宿題進んでるかな? 分からないところがあったらいつでも先生に電話してね」といった温かいメッセージ)
- 様子を伺うためだけの、15分間のビデオ通話(無料) (レッスンではなく、ただ「元気にしてる?」と顔を見ておしゃべりし、つながりを切らさないための時間を作る)
- 保護者の悩みに寄り添う個別カウンセリング(オンライン・電話) (「家庭での学習が手につかなくて困っている」という保護者の不安を、プロの教育者としてただじっくり聴き、アドバイスをあげる)
こうした、一見すると「1円の得にもならない、時間ばかりかかる泥臭い作業(=無償のひと手間)」こそが、生徒や保護者の心を強く揺さぶります。
「この先生は、うちの子のことを本当に気にかけてくれている」 「大手はシステム的で冷たかったけれど、このスクールは本当に温かい」
この感動と信頼感が、「通う習慣が一時的に途切れても、このスクールだけは絶対に辞めたくない。優先順位を下げたくない」という、強固なファン化(エンゲージメント)へと繋がるのです。実際に、コロナ禍において、大手の冷たい対応に嫌気がさした顧客が、こうした温かいケアを行う地域の個人スクールへと大量に「転校」する現象が各地で起こりました。
3. 生徒募集に悩むなら、「新規増」ではなく「退会減」に全力を注げ
もし、あなたのスクールが今、「なかなか新規の問い合わせが増えない」「生徒募集がうまくいかない」と頭を悩ませているのであれば、一度そのフォーカス(焦点)をガラリと変えてみてください。
入会者数を増やすこと(穴の空いたバケツに水を注ぎ続けること)を諦め、退会者数を徹底的に減らすこと(バケツの穴を塞ぐこと)に、リソースを100%集中させるのです。
スクール経営における「退会」は、単に売上が減るだけのイベントではありません。 退会者が1人出るということは、
- これまで積み上げてきた生涯顧客価値(LTV)がゼロになる
- その人が周囲に「あそこは良くなかった(あるいは、辞めても問題なかった)」というネガティブな口コミを広げるリスクが発生する
- 減った売上を埋めるために、高額な広告費を払って新規の1人を獲得しなければならなくなる(1人の新規獲得コストは、既存維持の5倍以上かかります)
という、三重の痛手を伴います。
逆に、既存の生徒に対して「無償のひと手間」をかけ、退会率を極限まで低く抑えることができれば、スクールの経営基盤は勝手に強固なものになっていきます。なぜなら、退会しないということは、新規が数人入るだけで、確実に「純増」していくからです。
集客の手法や、SNSでの映える発信ばかりに気を取られないでください。 生徒募集を成功させる最大の近道は、今すでにあなたの目の前にいて、月謝を払ってくれている「既存の生徒・保護者を、世界で一番大切にすること」なのです。
4. まとめ:ヒントはいつも、あなたのすぐ身近にある
私たちは日々、難しい経営のノウハウや、最新のデジタルマーケティングの手法を追い求めがちです。
しかし、ビジネスを長続きさせ、愛されるスクールを作るためのヒントは、案外、私たちのすぐ身近なところに転がっています。
「自分が客の立場だったら、どんな対応をされたら嬉しいか」 「どんな言葉をかけられたら、そのお店のファンになってしまうか」
飲食店の危機や、日常のちょっとした買い物、自分が受けている他社のサービスの中に、あなたのスクールを劇的に変えるアイデアが必ず隠されています。
まずは今日、最近少し元気がない生徒や、お休みがちになっている生徒の保護者に対して、「契約内容にはない、でも相手が絶対に喜ぶ『無償のひと手間』」を、何か一つだけ実践してみませんか? その小さな一歩が、大手の資金力にも負けない、あなたのスクールの一生モノの強み(差別化)になるはずです。
大手には真似できない「選ばれるスクール」への仕組み作り、一緒に始めませんか?
「既存の生徒のケアを仕組み化し、退会が出ない強いスクールを作りたい」 「『無償のひと手間』を具体的に自分のスクールにどう落とし込めばいいか分からない」
そのようにお悩みであれば、ぜひ私にその声をお聞かせください。 大手の画一的なシステムに対抗し、中小ならではの温かさとロジックを融合させた「退会させない仕組み(リテンション・マーケティング)」を、あなたのスクールの特性に合わせて構築します。
泥臭くても、本物だけが生き残る道を、共に作っていきましょう。
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