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2026.9.13
「生徒は増えているのに、なぜかお金がない」——2年で30教室を開校した元社長が語る、スクール経営と資金繰りのリアル
「もうこれ以上、生徒が入らないですよ」
「次の教室はまだ見つからないんですか?」
かつて、各営業所のスタッフからこの報告を受けるたびに、私は胃がキリキリと痛むような思いで頭を抱えていました。
定員がいっぱいで、これ以上生徒を受け入れられない状態。 同業のスクール経営者や傍から見れば、「生徒が溢れているなんて、羨ましい悩みだ」と思われるかもしれません。
当時、私たちが運営していたスクールでは、毎月400名以上の新規生徒を募集・獲得していました。それだけの勢いで集客をしていれば、当然どこかの営業所の担当教室がすぐに定員オーバーになります。現場からは「早く次の教室を用意してください!」と突き上げられる。
しかし、そのたびに私の頭の中を占領していたのは、集客の喜びでも教室拡大の誇らしさでもありませんでした。
「どうやって、次の資金を調達するか」
ただそれだけです。
教室を増やすほど、キャッシュが消えていく恐怖
スクールビジネスの表面だけを見ている人は、「生徒が増えれば、自動的に儲かる」と考えがちです。しかし、急成長期の現実はまったく逆でした。
1つの教室を新規開校するのに必要な資金は、内装や備品、契約金を含めて約200万円。 私たちは2年間で30教室を開校しましたから、これだけで6,000万円がかかります。
さらに、毎月400名以上の生徒を集め続けるための広告宣伝費や募集経費として、毎月700万円以上を投下していました。2年間で計算すると、実に1億6,800万円です。
立ち上げたばかりの実績も浅い会社に、それほどの巨額資金を無条件で貸してくれる金融機関などどこにもありません。
授業料が決済代行業者からドッと入金される月初には、通帳の残高が一瞬だけ膨らみます。ひと目見ると「余裕がある」ように錯覚してしまう。しかし、そこから家賃、人件費、広告費、返済が引かれていき、月末が近づくにつれて口座のお金は見る見るうちに減っていく。
「今月は乗り切れた。だが、来月は……?」
毎月末に味わうあの独特の重圧と恐怖感は、今でも忘れることができません。ずっと、頭の片隅で資金繰りの電卓を叩き続けていました。
社長の一番の仕事は「マーケティング」ではない
ビジネス書を開けば、「社長の一番の仕事はマーケティングだ」「集客さえできれば会社は勝てる」といった言葉が躍っています。
私自身、長年スクール経営と集客の現場に携わってきた人間ですから、マーケティングの重要性は痛いほど分かっているつもりです。しかし、あえて言わせてください。
「社長の一番の仕事はマーケティングである」などと言えるのは、実はお金に困っていない会社だけです。
中小企業、特に急拡大を目指すスクールや、日々の資金繰りに追われる経営者にとって、社長の絶対的な一番の仕事は「資金繰り(資金調達)」に他なりません。
金融機関へ足を運び、自社の事業計画を熱っぽく語り、必要な資金を引いてくる。 ここで売込んでいるのは、個々の「授業」や「コース」という商品ではありません。「自分の会社そのものの未来」を売込んでいるのです。
そして、この泥臭い交渉ができる人間は、中小企業においては社長一人しかいません。
どれほど優れた指導メソッドがあっても、どれほど生徒や保護者に愛される素晴らしいサービスを持っていても、手元のキャッシュが尽きればその瞬間にすべてがストップします。会社は倒産するのです。
良い商品やサービスを守り、さらに磨き上げるためにも、社長が真っ先にやるべきは「資金の血流を止めないこと」なのです。
「借りられる時に、攻める資金を確保する」という戦略
昨今の経済環境を見ると、物価の高騰や人件費の上昇、さらにはデジタル化やAI導入への対応など、スクール経営を囲む環境は一段と厳しさを増しています。
かつてコロナ禍で行われた緊急融資の返済期を迎え、「返済の負担が重い」「次の投資に回す手元資金がない」と頭を抱えている経営者の方からのご相談も増えました。
しかし、だからこそ知っておいていただきたいことがあります。
現在、国や信用保証協会、公的金融機関では、中小企業の経営改善や事業再構築、借り換え支援、あるいは攻めの設備投資(新規開校やシステム刷新)に向けた様々な融資制度や伴走支援策を用意しています。
かつてのように「拡大のためだけに闇雲に借りる」時代ではありません。しかし、「足元の資金構造を整え、次に攻めるための資金を確保する」という意味では、使える公的制度を活用しない手はありません。
もちろん、「必要もないお金を無理に借りろ」と言っているわけではありません。無計画な借入はただの毒になります。
大事なのは、「自校の成長や防衛のために、いくら必要なのか」「そのためにどういうロードマップを描くのか」を明確にすることです。
綺麗な言葉はいらない。泥臭く生き残ろう
これから先、教育・スクール業界では、廃業や淘汰がさらに加速していくと考えられます。
もし、地域で質の高い教育を提供している魅力的な個人スクールが資金難で消えていき、資本力のある大手チェーンや、極端にコストカットされた味気ないスクールだけが残ってしまうとしたら……それは業界全体の衰退であり、何より地域の子どもたちや通う人々にとっての大きな損失です。
経営は、綺麗な言葉やスマートな格好つけだけでは乗り切れません。 泥臭くていいのです。 使える制度や知識、利用できる支援はすべて使い倒して、泥臭く足元を固めていきましょう。
ネット上の表面的な情報や噂に惑わされないでください。
「生徒は集まっているのに、なぜか資金繰りが苦しい」
「今後の拡大に向けて、どう資金を調達すべきか分からない」
「借り換えや返済の計画をどう立て直せばいいか迷っている」
もしあなたがそんな孤独な悩みを抱えているなら、遠慮なくご相談ください。
修羅場を潜り抜けてきた一人の元経営者として、あなたの教室が生き残り、さらに飛躍するための現実的なロードマップを一緒に作っていきましょう。
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