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2026.9.27
【佐藤仁のスクール経営論】「マルチタスクができる人」ほど危険——脳科学が明かす生産性4割低下の真相と経営者の対処法
トラブルとタスクは、なぜか「まとめて」やってくる
スクールを経営していると、日々さまざまな出来事が起こります。生徒からの嬉しい成果報告や集客の成功といった「良いこと」もあれば、講師の急な退職、設備トラブル、退会連絡といった「困ったこと」もあります。
これらの出来事が、1つ解決したら次の1つがやってくる……というように順番に起きてくれれば何の問題もありません。
しかし、現実はそこまで上手くはいかないものです。
良いことも悪いことも、なぜか同じ時期に「まとめて」押し寄せてくるのが経営という現場のリアルです。
普段なら冷静に対処できる経営者であっても、トラブルや重大な決断が同時に何件も重なると、頭の中がパニックに陥ります。「何から手を付ければいいのかわからない」「すべてを同時に処理しなければ」焦りを感じて、無理な同時並行処理——すなわち「マルチタスク」に手を伸ばしてしまうのです。
脳科学が証明した「マルチタスク」という幻想
「手際よく複数の仕事を同時にこなせる人=優秀な経営者・リーダー」
かつては私自身も、同時にいくつもの案件を抱えてスピーディーに動くことが素晴らしいことだと考えていた時期がありました。
しかし、近年の脳科学や認知心理学の研究によって、この常識は完全に覆されています。
マネジメントやコミュニケーションの専門家であるデボラ・ザック氏(Deborah Zack)をはじめとする研究者たちの分析によると、「人間は構造的に、一度に2つ以上の複雑なタスクを同時に処理できるようにはできていない」ことが判明しています。
「マルチタスクが得意」に見える人は、同時に脳を動かしているのではなく、「優先順位(Priority)を決めた上で、眼前にある1つの作業に集中し、それを素早く切り替えている(タスク・スイッチング)」に過ぎないのです。
米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の権威ある神経科学者アール・ミラー教授(Earl Miller)も、「人間の脳はマルチタスクをうまく発揮するような構造になっていない。脳はマルチタスクを行っていると錯覚しているだけで、実際には作業の間を極めて非効率に飛び移っているだけだ」と厳しく指摘しています。
生産性が4割低下し、脳の灰白質にまで影響を与えるリスク
同時並行で仕事をこなしているつもりでも、脳内では深刻な問題が発生しています。
タスク・スイッチング(頻繁な意識の切り替え)を繰り返すと、脳には多大な「切り替えコスト」が発生します。研究データによると、これによって一般的な作業の生産性は約4割(40%)も低下すると言われています。
さらに恐ろしいのは、脳への物理的なダメージです。
マルチタスクを常態化させて脳に過度なオーバーロード(過負荷)をかけ続けると、脳の意思決定や感情制御を司る「灰白質(かいはくしつ)」が収縮するリスクが高まることが示唆されています。これは集中力の低下やストレス増加だけでなく、将来的な認知機能の低下すら引き起こしかねない深刻な問題です。
つまり、「マルチタスクで仕事を早く終わらせようとする行為」は、自ら生産性を下げ、脳を疲弊させる最悪の選択肢だったのです。
経営者がパニックを抜け出し、「シングルタスク」に集中する3ステップ
では、トラブルや大量のタスクが一気に押し寄せてきた時、スクール経営者はどのように対応すべきなのでしょうか。
答えはシンプルです。「一度に1つのことしかやらない(シングルタスク)」の原則に立ち返ることです。
私がクライアントの経営者様にお伝えしている、頭の中のパニックを解消するための3ステップをご紹介します。
1. 紙にすべてを書き出し、脳のメモリを解放する
タスクが重なった時に最も危険なのは、「頭の中だけで全てを整理しようとすること」です。脳のワーキングメモリが一杯になり、それだけで疲弊します。まずは目の前のノートに、今起きているトラブルやタスクをすべて書き出してください。
2. 「緊急度」ではなく「重要度」で優先順位(Priority)を1つに絞る
書き出したリストの中から、「今、この瞬間に手を付けるべき最初の1つ」だけを決めます。多くの人は「緊急に見える雑務」に振り回されますが、経営者が優先すべきは「スクールの維持や顧客の信頼に直結する重要タスク」です。
3. 決めた1つの作業が終わるまで、他の通知・情報をシャットアウトする
最初の1つを決めたら、メールやメッセージの通知を切り、目の前の作業だけに全集中します。その作業が完了するまでは、他のタスクのことは一切考えません。終わったら、次のタスクへ切り替えます。
まとめ:1つずつ確実に終わらせる経営者が、一番速い
押し寄せるタスクを前にして「早く全部終わらせなければ」と焦る気持ちは、スクール経営者であれば誰もが経験したことがあるはずです。
しかし、焦ってマルチタスクに逃げても、ミスが増え、時間はかかり、脳が疲弊するだけです。
- 人間の脳はマルチタスクができない構造だと知る
- 優先順位を決定し、目の前の1つの作業(シングルタスク)に全集中する
- 1つ終わったら、次のタスクへと素早くスイッチする
一見すると、1つずつこなしていく方法は遠回りに見えるかもしれません。
しかし、結果としてこの「シングルタスクの徹底」こそが、最も短時間で、最も高いクオリティで大量のタスクを処理する唯一の道なのです。
私、佐藤仁は、忙しさに追われて本来の経営戦略に集中できないスクールオーナーに向けて、業務の整理や優先順位づけ、持続可能な経営体制づくりをサポートしています。
「タスクに追われて頭の中が整理できない」
「経営の優先順位を一緒に整理してほしい」
そうお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
脳に負担をかけず、成果を最大化する経営スタイルを一緒に構築していきましょう。
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